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私たちの想い

実らせたい未来 / Vision

「美しさの更新が続く世界」

変わり続けるのが世界

当たり前を問い
維持を手段に用いず 
世界を悲観せずに 
変化を受容する
しなやかな感性を育み続けよう。

いつだって
自然のみせる 美しさを頼りに。

耕す今/ Mission

「消費されない体験」

恐れず 慌てず
目の前にそびえる壁も
急がず 焦らず
必ず糧となるのだから

そこに在る未来を 
手ばなす前に みんなの手で。

自然と人 ・人と人・ 自分自身との
出会いなおしの「間」を この森から創出します。

沿革

あそび | 森林整美
 ・・・

2010-2016
山武(さんむ)市文化事業「体験型音楽祭 山のおんぶ」さんぶの森公園
2017
市有林「日向の森」へとフィールドを移す
山武市文化事業「ヤケマルタトオノ」 立上げ
「森のつくりなおし」始動
2022
NPO法人 CHARCOAL&AXE 設立

実績

まなび|ビビビの森学校
 ・・・

環境教育プログラム及びイベント参加者数
約2700人

森林整備参加者数
約600人

整備進行状況及び通年整備面積
約8ha

※年間データ(2024年のデータ)

法人概要

むすび|ヤケマルタトオノ
 ・・・

名 称
特定非営利活動法人 CHARCOAL&AXE
(チャコール アンド アックス)

設 立
2011年07月04日

法人所在地|事務局
289-1324 千葉県山武市殿台229番地1

連絡先
E-mail yakemarutatoono@gmail.com

代表理事
栗原 幸利

活動内容
・森林保全並びにモデル林の構築
・森林に関する教育プログラム・イベント
・学校教育における体験活動の受け入れ
・企業・団体向け環境教育プログラム 研修の受け入れ
・山武地域産品の普及啓発・文化事業
・ロケーション撮影に関するサポート

代表メッセージ

CHARCOAL&AXE 代表 / WO-un(空師)

“何があるか、ではなく何を見るか”

私たちは森に何を見るのだろうか。
森と言うからには勿論、木や草が生えている。木々の間を飛び交う鳥や、地を這う虫たち、季節によってはところどころに花や実を見つけることもできるだろう。…でもそれだけだろうか。
少し目を凝らしてみてみると、今まで全部同じにしか見えなかった木々の異なる表情が目につくようになる。樹皮や木の葉のザラザラギザギザ、てかてかつるつる…。そして続けて何度も入っていると足元の雑草と呼ばれる草の顔ぶれが季節と共にガラッと入れ替わり、場所によっても種類、生え方が違う事も分かってくる。

そうなると否が応でもその見えない境が気になり始め、誘われるように視点という扉を一つ開く。

特定のミネラルが不足した場所を好んで生えて来るものや、水気の多い場所を好むもの、光に敏感なもの、枯れた土地でも力強く根を張るもの、土が無くても成長できるもの… そんな特性や役割のようなものが少しずつ見えてくると今度はその植物たちを足元で生み出す土の正体が、何億年という途方もない時間をかけて生き物同士が結んだ共生や拮抗が、物理の法則と科学反応を駆使して手渡されていくエネルギーや物質の循環が、私たちを更なる深みへと導いていく。

かつて「何もない」と社会から切り捨てられた森が、開かれていく数々の視点によって果てしない奥行きとダイナミズムに彩られ、今私たちを魅了する。何もないのではなく何も見ていなかったのだという事に気づいた時、今まで気にも留めなかった身の回りの些細な事から、壮大な物語や底知れぬ面白味が溢れ出す。そんな森との出会いなおし、そしてその先にある日常との出会い直しが、この世界と「わたし」との関係性を柔らかく、滋味深く耕してくれる鍬となる。

でもアルゴリズムに篩にかけられた情報が、黙っていても押し寄せてくる今の暮らしや、特定の固定化された概念や価値感がつなぎとなり成立するこの社会ではそんな出会いなおしが入り込む隙はあまりない。それが起きうるのに十分な時間と空間、そしてあらゆる問いを受け止めてくれる余白と隙間に満ち溢れている場がきっと森なのです。

“環境のつくりなおし”

私たちは「環境のつくりなおし」という言葉を掲げて活動をしています。…と言うといかにも「森にとっていいこと」をしているように聞こえるかもしれません。確かに私たちがここに来たときこの森の殆どが背丈を超える篠竹、葛や藤のツル、そして倒木が折り重なり数メートル先も見通せない文字通りの「荒廃した森」でした。ただおそらくそれも私たちが手を付けずとも数百年という時をかければ必要な遷移を経て、自ずと極相と呼ばれる安定した森に還っていったのでしょう。その自己回復能力や恒常性を私たちは森で過ごした時間の中でまざまざと見せつけられてきました。それでも私たちが森に手を入れ続けるのは何故なのか。

それを自然保護活動もしくは森林保全活動と呼ぶこともできる。実際世間でそう呼ばれるものとやっていることは大差ない。でも「自然」と言う言葉を使い一体何を指しどこに線を引いているのか、誰のための何を目指した「保護」なのか。数十億年という途方もない時間をかけて築き上げられた関係性が織りなす森という一つの現象を、一体どこまで理解した上で私たちはある状態を荒廃と呼び、回復と位置付けるのか。それは森で費やす時間が長くなるほど、解像度が上がるほど、逆にどんどん分からなくなってくる。そうして浮き彫りになるのは私たちの物差しや知性の限界とそれらを軽く飛び越し、覆していく森の存在。

それでもこの森を人との歩み無しで語ることはできない。森の至る所で発掘される縄文時代の古墳群から始まり、江戸の発展と共に育まれた山武林業と戦後のその衰退が残した、病気が蔓延した人口杉林。 人の生活圏内にあった里山だったからこそ常に人的都合でもてはやされたり突き放されたりしながら最終的に私たちが活動を始めるまでの20年間、放置され藪と化したこの森の背景。もしそこで暮らす人の営みや文化、経済活動を含めた上で森と人との丁度良い間が作り出す極相が存在するとしたら。森という一つの自然現象を指し示した時、人がその一部として在ることができるとしたら…

そう、それはどこまで行っても結局分からない。丁度良い間や極相なんてものは人がそう判断したところで森は何も答えない。でもこの分からなさを放置しても、 逆に分かりやすさに甘えてもきっと森は私たちから遠ざかる。

言葉に出来るものと出来ないもの、理性と野性、環境と経済、破壊と再生、人と森 。

その間を揺らぎさ迷いながらも問い続け、覆されるたびにその問いを更新しながらまた森に手を入れる 。これが私たちの掲げる、人のあり方や関わり方の見直しと変容を軸に据えた、「環境のつくりなおし」です。

その先にきっと人が必要とする森があり、人を必要とする森がある。

山武地域について

山武市
千葉県東部に位置する山武市。日本有数の砂浜海岸である九十九里浜が約8kmにわたり太平洋に面する。海岸地帯には松林が連なり、九十九里平野で田園地帯を形成する。稲作はもちろん野菜や果実の生産、海の幸と豊かな地域です。

山武林業の背景
江戸への遷都に伴う木材需要の高まりと共に発展した山武林業。その核となる銘木 「 サンブ杉 」の材質、木目の美しさは吉野杉に並ぶとも言われ、材積量が及ばず同等の格付けは得られなかったものの、木材業界、林業界でその名は今も広く知れ渡っている。江戸から明治にかけての林業は、度重なる大火や災害、戦争などが木材 の需要と価値を際限なく押し上げていく中、過度の伐採や単一樹種の短期伐採サイクルという経済性重視の施業が広まっていった。
一方、山武地域では「雨量が少なく杉には不適」というこの地域の気候的課題を克服すると同時に、森林の水源涵養機能や生態系を極力損なわない「混交複層林 」や「択伐」などの手法が発達し、その技術とそれを生み支えた思想は明治から大正にかけ大きな注目を集めた。大正の初めには県内外、更には国外からも年に数千人が山武林業の視察に訪れ、明治神宮の杜造成にこの手法が採用されたという記録もある。
だが第二次大戦時の大量伐採、戦後復興の為の一斉造林の波にこの地も呑み込まれ、それに続く燃料革命、外材の普及、建築様式の変化により日本全国で林業が衰退していく中、山武林業が作り上げた美林も徐々に姿を消していった。

※「混交複層林」とは複数の異なる樹種と樹齢の樹木が混在する人工林で、用材に適した木が適量、選択伐採され(択伐)空いたところに新たな苗が植えられ更新されていく。