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平塚文音さん(千葉県)

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平塚文音さん(千葉県)

私が生まれた頃すでに開発によって森は傍に居なかった。

両親は北海道の大自然の中で育ち、千葉に移り住み、私たち兄妹を連れて毎週のように森にキャンプへ行った。

ズンズンと、まるで森に帰ってしまいそうな勢いで野山を進む母の背中を不安だらけで泣きそうになりながら追いかけた記憶。

両親は自然の中で、ありとあらゆる五感を育んだのかもしれない。
そして特に母は五感に続く、その先を知っているようにも見える。

森の傍に生まれなかった私は児童心理/教育/保育を学び、芯となったのが「五感を育てる保育」だった。
そして時の流れのどこかで、人間には森が必要だと思うようになった。

今では子を産み、親子3代でおじゃまするようになった日向の森で、森に還る母と子の姿を微笑ましく、時折うらやましく眺めては、負けじと森の再生や共生の在り方を森と人人人の中で過ごし見つめながら、ひとつづつ拾い集めるように学んでいる真っ最中。

”いつも森が傍にいた”そんな世代ではないけれど、おこがましくも森を再生する世代になり得るのかもしれないと思うと、なんだかワクワクしてくる。
もっともっと見つめていたいと、願いが湧いてくる。