幼少期、祖母と過ごす時間が多かった私は「ご飯粒の中には神様がいる」「モノの中には神様がいる」とよく聞かされて育った。
初めて葛飾北斎の肉筆画を見た衝撃が7歳のとき。 自然を自在に切り取り細密な描写で命を吹き込み続けた彼に憧れ、山や寺社仏閣へ足を運んではスケッチをしたことを今でも覚えている。 見えないモノを意識し表現する頃から、当たり前だった自然への向き合い方も次第に変わってきた。
祖母のことばから始まった視点は、アニミズム的思考へと変貌を遂げた。
日向の森に足を運んで3年。 この森でも「見えないモノ」の気配を感じることがある。
それは、ここが人の手が入っていない森ではなく、人と密接な里山だからこそ感じるのかもしれない。
これからもこの森で、私はその時だけのスケッチを心に記憶していきたい。